御多分に漏れず、金のない学生時代だった。
日本を離れてから、数年は海外で暮らしていかなければならない。その渡航資金を稼ぐため、いくつかのバイトに明け暮れていた。そんなとき、忘れられない出来事があった。
「返済は無用だよ。」
渡航資金のあてにしてくれと、当時では大金だった金額をくれた人物がいた。必ず出世払いで返すと言ったんだけれど、その人は笑って取り合わなかった。そして、こんな名言を付け加えられた。
「もし上手くいって、まとまった金額ができたなら、そのお金は社会に返したまえ。」
その後の生活で、どんなに苦しかったときも道を踏み外さないで生きてこれた。
あなたのおかげです。お世話になりました。