「この国で俳優をやりたいのなら、その日本語のなまりをなんとかしろ。」
トロントでコメディショーをプロデュースしていたカナダ人から、そう言われた。その後、彼とは長い友人となり、僕の英語から日本語アクセントを抜く猛特訓が始まったのである。
まずは、これから毎日、10人以上に道で時間を尋ねるんだ!
そう言われてから、いろんな人種に声をかけまくった。
Do you have the time?
何時か分かりますか?
次は、街中の本屋に電話をかけて、こう尋ねろ。
Do you have Anthony Robbins?
アンソニー・ロビンズ置いてますか?
世界的な自己啓発本の有名人だ・・・。この辺から、英語武者修行は妙な感じに進むのである。
怖かったのは、ストリートにいるギャングっぽい黒人たちを笑わせろとの指令。
このときばかりは、自分は何も知らない日本人だとアピールするのに必死で、逆効果だった気がする。
しかし、だんだんと度胸はできてきて、何件かコメディクラブのステージに立つことができた。
スタンドアップ・コメディ、「スタンダップ」と呼ばれる漫談で、ひとりでしゃべり続けなければならない。
最初は、Amature Nightと呼ばれる素人部門からスタートした。
客はビールを片手に野次を飛ばすのである。だいぶ”日本に帰れ!!”とありがたい言葉をもらえた・・。
思い出したら、続きはまた次回。